#赤いきつね #綠のたぬき
言わずと知れた国民的人気商品である。
綠のたぬきは、某都知事のニックネームに使われたせいでイメージダウンを受けたかも知れないが、現在も健気にスーパーマーケットの棚で自己主張している。
今日も西友で確認してきた。
赤いきつね=うどん
綠のたぬき=そば
である。
当たり前のように受け入れているが、それで良いのか?
なぜ「赤いきつね=うどん、綠のたぬき=そば」なのだろうか?
うどんとそばを逆転させてはならないのだろうか?
以下は、全くの私見である。妄想である。
異論反論もあろうが、受け付けない。
和風の麺類の代表は、そばと、うどんだ。
スーちゃんが宣伝していた素麺もあるが(「揖保の糸」は特定の会社の商品名ではなく、その地方の素麺の総称だ。例えるならば、博多ラーメンみたいなものか。ちょっと違うか。ひとつの会社ではなく、地方の素麺協会?が「揖保の糸」のCMを放送している珍しい例である。)、今日のところはご遠慮願おう。
具の代表は、油揚げと、天かすだ。
これを組み合わせると、4種類の麺類ができあがる。わかるよね。
「油揚げそば」「油揚げうどん」「天かすそば」「天かすうどん」
関東では、具に「油揚げ」を入れたモノを「きつね」と呼び、「天かす」を入れたモノを「たぬき」と呼ぶ。
「きつねうどん」「きつねそば」は、素うどんに味付けて煮込んだ「油揚げ」を投入したものである。
「河童に胡瓜」「鴨に葱」「豚に真珠」そして「狐には油揚げ」。
これが関東の常識だ。
(「鳶に油揚げ」じゃなかったっけ?両方ありだ)
だから「油揚げ」が入っている麺類は「きつね〇〇」と呼ぶのだ。
他方「たぬきそば」「たぬきうどん」は、素うどんに「天かす」を投入したモノだ。
残念ながら「狸に天かす」という言葉は聞いたことがない。
これは、ブログ主の私見だが、「狐と狸の化かし合い」とも言われ、狐と狸は人を騙すとされる点で共通する代表的なほ乳類である。(実際には、騙さないと思うが)
思うに、昔、そばやうどんの具として、油揚げ、天かすが、2大ヒット商品だったのではなかろうか。
(司法試験では、「思うに」と書き始めた段階で、その論文は不合格答案への入口にある。客観性を失うからだ。でもこのブログは最初から「私見」と宣言しているから、問題ない)
片や「油揚げ入り」には「きつね」と命名した。
もう一つの代表「天かす入り」は何と呼ぼうか?
あっちが「きつね」なら、こっちは「たぬき」でどうだろう。
そんな安易な命名だったのではなかろうか。
そんなこんなで、前記4種類の麺類は
「きつねそば」「きつねうどん」「たぬきそば」「たぬきうどん」
と言い換えることが出来るね。
問題は、本来は4種類あるのに、赤いきつねと綠のたぬきの2種類しかないところにある。
これは不思議ではないのか?
そして、赤いきつねは、そばではなく、うどんであり
綠のたぬきは、うどんではなく、そばである。
そう決まっているのだ。
そして、誰も疑わない。何故だ?
ブログ主の浅い知識に基づくと
関西では
「きつねうどん」はあっても「きつねそば」はない。
「たぬきそば」はあるが「たぬきうどん」は存在しない。
関西で「きつね」と言えば「うどん」を意味する。つまり「きつねうどん」とオーダーする必要はなく、一言「きつね」と言えば、うどんが出てくる。関東人には「けつね」に聞こえるかも知れないが。
極論すれば、関西には「きつねうどん」という言葉はなく、単に「けつね」なのである。
他方「たぬき」と言えば「そば」を意味する。
同じく、単に「たぬき」とオーダーすれば、そばが出てくる。「たぬきそば」という言葉はないと言って良い。
関東は4種類だったが、関西は2種類なのである。
そして、その2種類は「赤いきつね=うどん」と「綠のたぬき=そば」に合致している。これは偶然か、意図的か?
ここで読者諸氏にアピールしたいのは、そもそも関東と関西では、用語と意味するモノが違う。ということである。
関西の「きつねうどん」の具は「油揚げ」である。関東と同じだ。
関西の「たぬきそば」の具も「油揚げ」である。関東とは異なる。
関西では「きつね」も「たぬき」も、具は「油揚げ」なのである。
では、関西には具に「天かす」を入れた「うどん」や「そば」は存在しないのか。そんなことはない。
ここで関西文化に触れておく必要があるだろう。
偏見に満ちた言葉で言わせて貰うと、関西人はケチくさい。
街中の商店では、絶対に値切るし、デパートでも値切る。
ましてや、天ぷらを揚げた時にできたクズに過ぎない「天かす」に、わざわざ金を払うなんて頭の片隅にもない。あり得ない話だ。
つまり「天かすは只」が関西人の常識なのである。
だから、関西のうどん屋、そば屋に行くと、テーブルに「天かす」が置いてあり、ご自由にお食べください。セルフサービスとなっている。
分かりやすく言えば、吉野家の紅ショウガと同じ扱いだ。
例えば、素うどんを頼んでも、テーブルの天かすを只で投入して、関東風の「たぬきうどん」ができあがる。「たぬきそば」も同様だ。
つまり関東流の「たぬきうどん」「たぬきそば」は、関西では商品として成り立たないのである。
だから、関西人が関東に来て、「天かすうどん」が「たぬきうどん」と名乗って、素うどんよりも高い値段を主張しているのに驚く。驚くと共に、天かすなんかにわざわざ金を払う関東人を馬鹿にするのだ。
ブログ主は、この関西流の「きつね=そば」「たぬき=うどん」が、「赤いきつね=うどん」「綠のたぬき=そば」の淵源だと睨んでいる。
ここで一つの疑問がある。
関東のそば屋で「たぬきそば」を注文すると「天かすそば」を意味する。
しかし「綠のたぬき」は「天かすそば」ではない。
「後乗せサクサクのかき揚げ」が入った、立派な「かき揚げそば」である。
そば屋で「かき揚げそば」と言えば、当然「たぬきそば」より値段が高い。「かき揚げそば」の方が高級品だ。
「綠のたぬき」は、高級な「かき揚げそば」なのに、あえて低級の「たぬき」を名乗っている。なぜだ?
これも私見である。
「赤いきつね」と並ぶシリーズ商品として売り出すためには「たぬき」のキャッチコピーは絶対に外せない核だったのだろう。
言ってしまえば、色は何でも良かった。青でも黄色でも、紫でも。一番、赤との対比が目立ち、言葉としてのゴロも良かったのが「綠」だったのだろう。
さらに膨らむ疑問がある。
なぜ「緑のたぬき」は、「天かすうどん」ではなく、「かき揚げうどん」なのだろうか。「たぬき」を名乗るなら、「天かすうどん」で良いではないか。高級品が低級品を名乗る矛盾も解消するし、低コストで作れる。
これもブログ主の勝手な思い込みだが、はやり関西文化が影響しているのではないか。
関西人から見たら「天かすうどん」には「素うどん」の価値しかない。「けつねそば」と並ぶ商品としては、格が違う。比較にならない。
天かす以上の価値がある具を用意しないと、少なくとも関西圏では商売にならない。そこで考えられたのが「サクサク後乗せかき揚げ」なのではないか。
大きさも厚みも、油揚げと同等のモノを作り上げた。油揚げにしっかり味が付いているのに対して、かき揚げを、後乗せサクサクにしたのは、大発明だと言えよう。
おぼろげな記憶だが、最初は「後乗せ」ではなかったので、サクサク感がなかったのを改良したのではないかな。
さてさて、さてさて。
なぜ、ここまで「赤いきつね」と「綠のたぬき」に拘ってきたのかというと、西友で「紺のきつね」を発見したからである。
「紺のきつね」の正体は、具として油揚げが入ったそばである。関東風に言えば
「きつねそば」そのものである。関東では、当たり前に存在する普通の食べ物である。
しかし、これは、関西文化の
「けつねはうどんである」を真っ向から否定している。
関西では、そばに油揚げの具を乗せたら、それは
紛れもなく「たぬき」である。
「たぬきそば」という言葉が存在しないくらいに当然のことである。そばをけつねと呼ぶことなどありえない。
今までの検証で、「赤いきつね」と「綠のたぬき」は関西文化を尊重したところに成り立っていることを論証してきたつもりだ。
それが、ここに来て、いきなり関西文化に喧嘩を売ったのだ。なぜだろう。
会社に寄せられた販売希望が多かったのか。
会社の食品開発部の気まぐれか。
きつねが「コン」と啼く駄洒落に過ぎないのか。
開発部に関西文化を理解しない新人が入って開発し、会社のチェック機能をすり抜けて商品になってしまったのか。
いずれにしろ、「紺のきつね」は関西地方では、受け入れられないとブログ主は予想する。もしかしたら、この商品は、関東限定で、関西圏では販売しないのかもしれない。
(了)