#法テラス は、悪なのか?

先日、法テラスをこき下ろすブログを書いた。
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ブログ主は、この法テラス設立に法案作成という形で関与した経験から、こき下ろしたわけだが

要するに、法テラスが出来上がっていく過程をつぶさに見てきた。

法テラスは「有史以前から存在していたもの」ではなく、主の目の前で出来上がったのである。

主と同世代(やや幅広く)の弁護士にとっては、新しい時代に出現した巨人なのだ。

 

他方

比較的新しい弁護士

現在の司法修習生

現在の法科大学院

彼らにとっては、法テラスは「プレヒストリックに存在していたもの」である。

あって当たり前のもの。


電気、ガス、水道みたいに考えてみて頂きたい。


江戸時代には、電気も、ガスも、水道もなかった。

さぞ、不便な生活だったろう。

ただ、それは後世の人がそう評価しているだけで、江戸時代の人は、当たり前と考えていたはずだ。


江戸時代から現代までの期間を生きた人たちは、
電気、ガス、水道ができる度に、生活が便利になったことを実感しただろう。ありがたいことだ、と思っただろう。

 

他方、電気、ガス、水道がある世の中に生まれた世代は、その真のありがたさが分からない。当たり前だと思う。
さらには、電気料が高いとか、停電するとか、発電が環境に負荷をかけているとか、恩恵を受けていることを横に置いて(無視して、忘れて・・・)クレームを言い始める。

 

主は何を言っているのか?
電気、ガス、水道と法テラスが関係ないだろう?
いやいや、失礼した。

これからは、法テラスがなかった時代を江戸時代としてみよう。そして、法テラスがある時代が令和だ。

 

令和に生きる多くの弁護士が、法テラスに悪感情を持っている。文句を言っている。

法テラスと契約しない、契約を解除した弁護士も多い。

では、問いたい。
江戸時代に逆戻りしてもいいものなのか?

 今日は、法テラスの各種業務の中、

 民事扶助事業に光を照らしてみよう。

 

民事扶助事業とは、民事上の紛争に巻き込まれた当事者が、弁護士を依頼したいけど、弁護士報酬を支払うお金がない。そんな人に、弁護士費用を貸し付けて、裁判を依頼できるように援助する。

裁判に勝ったら、相手方から取り立てたお金で、貸し付けたお金を返して貰う。裁判に負けてしまったら、相手方からお金は取り立てられない。もちろん分割で返して貰うシステムなのだが、もともとが貧乏人なので、返済されない場合も多い。

だから、援助する事件と人を、よくよく調査する必要がある。

 

 

江戸時代には、水道はなかったが、井戸があった。それで、生活は可能だった。

江戸時代に法テラスはなかったが、財団法人法律扶助協会があった。民事扶助事業を行ってきた。

法律扶助協会は日弁連や各地の単位会とは別人格の別法人である。

別法人ではあるが、予算が乏しかった。

そのため、東京の本社も弁護士会の建物に事務所を構えていたし(間借り)、各地方の弁護士会館の一室を(ロハで?)間借りしたりしていた。
弁護士会館が17階建ての新しい建物になってからは、14階に間借りしていたが、新会館が建つ以前は、旧日弁連会館に間借りしていた(んだったかな)

職員も弁護士会が雇用していたり、弁護士会職員が兼務したりしていた(なにしろ弁護士会館内にあるから兼務可能)。

これは、前の「こき下ろし記事」でも指摘した事実だ。

 

法律扶助協会は、その活動は、弁護士会の場所的、人的協力、弁護士からの寄付などに依存していた、と言って良い。形式上は別法人だが、弁護士会支配下にあった。弁護士会が牛耳っていた。役員も弁護士が就任していた。

だから、利用する弁護士から、法テラスのような徹底的な批判を受けることもなく、仲良く連携していた。

 

「こき下ろし記事」では、法律扶助協会は国から補助金を受けていなかった。と書いたが、記憶違いだったか。。。

民事扶助事業は、その性質上、弁護士会が主体となって実施するのが合理的である。

では、なぜわざわざ別法人を作り、法律扶助協会が民事扶助事業を行っていたのか。

それは、弁護士会の独立を守るためである。

公金から補助金を受けると、その使い道について国の監査が入る。

弁護士会が民事扶助事業を行い、そこの公金からの補助金が入ると、その使い道について国の監査が入る。

金に名前(出所)は書いてないから、補助金だけでなく、弁護士会の会計全体が監査される危険性もある。弁護士会の独立の危機にもなりかねない。

だから弁護士会から切り離した別法人である法律扶助協会を日弁連が設立し、法律扶助協会に扶助事業を委ね、補助金の受け皿としたのである。

法律扶助協会に監査が入っても、本丸である弁護士会の監査までは行えない。先人の知恵と言えよう。

 

主は、修習生時代に2~3回、法律扶助協会の審査委員会に同席させて貰ったことがある。修習指導弁護士が、担当委員だったからである。
委員会は、5~6人位の弁護士が集まり、対象事件の勝訴の可能性、扶助の必要性(依頼者の経済状況)などを議論していた。

報酬などでないボランティアであったと思うが、皆、自分が依頼を受けた事件と同じように、真剣に事件に向き合っていた。修習生ながら感服したものである。

他方、こんな会議に5人も6人もの(高給取りの?)弁護士が集まるのはムダではないか。と思ったことも事実である。ただ、慎重に判断することは、悪いことではない。

なにしろ、予算が少ない。有効に活用するためには、扶助する事件も厳選しなければならないのだ。

ということで、法律扶助協会の元で、扶助を受けるにはかなりハードルが高かった。言い方を変えると、扶助事件の事件数は多くなかった。予算が少ないからだ。

 

主も法律扶助協会を使って、事件の依頼を受けたことがある。但し、ほんの数件だ。

一番印象に残っているのは、スナックにマスター(料理人)として雇用されていた中国人が、突然解雇された。という労働事件だ。復職を希望していた。勤務実態がなくなると復職が難しくなるので、スナックに勤務するよう指導した。しかし、スナックに出勤しても経営者が給料を払ってくれないので生活できなくなり、スナックを本格的に辞めて、深夜の土木工事に従事するようになった。毎日、スコップやツルハシを振るって居たのだろう。打ち合わせをする度に、マッチョになっていったのが印象的だった。

 

横道に入ってしまった。元に戻ろう。

つまり、法律扶助協会を利用する案件は、ほんの一握りに過ぎなかった。ということを言いたかったのだ。

 

法律扶助協会の定める弁護士報酬は、昔存在した日弁連弁護士報酬基本基準規程に比較すると、若干安かったが、仕事をすれば利益はでたし、一人の弁護士が利用する件数が少なかったので、営業全体の足を引っ張るようなことはなかった。

だから、弁護士と法律扶助協会は、仲良く付き合うことができたのだろう。

 

しかしながら、当時は、予算不足により組織も小さく、法律扶助を受けられる対象者、事件は、ごく少数に限られていた。

法律扶助を受ける条件としての「勝訴の見込み」も、かなり厳しく審査された。

法の光に照らされる国民が少なかった。と言い換えても良いだろう。

 

実は、法テラスを設立する際、法律扶助協会は解散した。法律扶助協会は財団法人であり、国の機関ではないが、純然たる民間法人ではなかった。公金の補助金が入っていたからだ。

そして、法律扶助協会と法テラスは、同じ民事扶助業務を実施することを目的とする同種の組織である。2つを同時に存在させておく意味がない。

 

また、国の方針として、新しい組織を一つ作るときには、現存する組織を一つ廃止しなければならない、というルールがある。これを「スクラップ&ビルド」という。このルールがないと、無限定に組織が増殖し、公務員の人数も、予算も、歯止めがきかなくなる。

弁護士会には、この視点がなく、どんどん委員会を増やして、巨大化している。だれか、釘を刺してくれないか。法テラス設立の際に国との交渉窓口であった[G]なんか、「スクラップ&ビルド」を熟知しているはずなので、適任じゃないのかな。

法テラスを設立するには「スクラップ&ビルド」のルールにより、何か一つ組織を廃止しなければならないのだが、趣旨・目的を同じくする法律扶助協会が、ジャストミートなターゲットになったのだ。

純粋民間法人を廃止しても「スクラップ&ビルド」にはならないが、公金が入っている法人なので、ギリ、対象になったのである。

 

そして、法律扶助協会は解散し、同協会が扶助していた案件は、法テラスが引き継いだ。

 

法テラスは、法律扶助協会に比較して格段に大きな組織だ。民事扶助以外の業務を行うこともあるが、民事扶助事業だけでも、かなり巨大になった。なにしろ国が予算を付けるのだから。

 

そうなると、扶助する案件を増やすことができる。

ということは、扶助の条件・審査も甘くなる。「勝訴の見込み」も、厳格なものから「可能性」程度で認められるようになる。

法律扶助協会のときには、さほど力を入れていなかった法律相談業務も、法テラスは強力に推し進め、相談者を依頼者に取り込む努力をする。法の光が照らす国民の人数も増え、案件数も膨らむ。

それを担当する弁護士にとっては、全体の業務に占める法テラス案件の割合が大きくなるのは当然の結果と言えよう。

弁護士にとっては大変かも知れないが、国民からしてみれば、有り難いことだ。

 

紛争に巻き込まれたが弁護士に依頼する方法が分からない。依頼する金がない。自分を助ける法律があったところで、使えない。今の世の中、右も左も真っ暗闇じゃあございませんか。

というところに、天岩戸が開いて、法テラスの光が差し込んできた。弁護士の援助を受け、法律を使って紛争から抜け出すことが可能になった。嬉しい。

国民が喜んでくれたとなれば、国の政策としては成功と言って良いのではないか。法テラスって、なんて素晴らしいんだ。法案作成に携わった役人(ブログ主を含む)は、感謝の対象だ。

法テラスは、決して「ショッカー」や「死ね死ね団」のような極悪非道な組織ではない。

 

でも、国民の全員が喜んでいるわけではない。

喜んでいないのは、法テラスから法の光を国民に届ける「使徒」となった弁護士である。

今まで弁護士に依頼できなかった人を金銭的に援助して、弁護士につなげる。弁護士界全体としては、新分野開拓で全体の業務量は増大したはずだ。弁護士は喜んで良いのではないか。

しかし、現状は逆である。

その最たる原因は報酬が安いことにある。

また、審査基準が甘くなったため、こんなことまで事件化するのか。という種類の案件や、勝訴の見込みがほとんどなく苦労ばかりの事件が、多く含まれることになる。

苦労して、報酬が安かったら、弁護士が嫌がるのはもっともなことだ。

 

法テラスの構想を担った担当者としては、法テラスの報酬は、法律扶助協会に準じる金額とする紳士協定があった。

法律扶助協会の報酬は決して高くはないが、営業として成り立つレベルだった。それに準じるならば、悪い話ではない。

ところが、実際にお金を握っている財務省法務省は、紳士協定を守るような紳士ではなかった。

実際に出来上がった報酬基準は、法律扶助協会基準を大幅に下回ることになった。

弁護士、弁護士会は、だまし討ちを食らったのだ。

 

さらに問題なのは、法テラスの立ち位置だ。

法テラス、依頼者、弁護士は、三者契約を結ぶ。

❶弁護士は、依頼者のために、法律サービスを提供する。

❷法テラスは、依頼者に代わって、弁護士に弁護士報酬を支払う。

❸依頼者は、法テラスに分割で、弁護士報酬の立替金を返済する。

❶❷❸は対等な契約関係にある。

中間に位置する法テラスは、資金を貸し付けるだけの存在で、弁護士の味方でもなく、依頼者の味方でもなく、中立な立場のはずだ。(法律扶助協会は、日弁連が設立し、弁護士会の手のひらの上にある弁護士の味方の組織であった)

ところが「依頼者(貧困者)の援助をする」という設立目的を逸脱して、あらゆる場面で依頼者の味方をする。

契約関係において、一方の味方をすると、他方と敵対することになる。

たとえば、弁護士報酬の金額について、依頼者は高いと言い、弁護士は安すぎると言った場合、法テラスは「依頼者は貧困者なのだから守らなければならない」という乱暴な正義感(緻密な思考を捨てて)に駆られて、依頼者の言い分を支持する。

損をするのは弁護士だが、法テラスは、我関せずだ。

(厳密に言うと、高い弁護士報酬を弁護士に払うと、依頼者からの回収に失敗したときに法テラスに損失がでるのを回避している側面もある)

 

法テラスは何を間違えているのか。

 

法テラスが、弁護士費用を立て替えて、分割返済で良いですよ。と手を差し伸べただけで、依頼者の援助をしているのである。また、生活保護受給者などの場合には、返済免除をする。

さらに、報酬基準は、極めて低廉に押さえられている。これも援助だ。

そして、それが法テラスの業務の全てと言って良い。

それ以外の場面では、依頼者と弁護士に公平であるべきなのに、依頼者に肩入れするのは、過度な援助なのだ。

しかし、法テラスは、援助の美名と、その使命を果たしている満足感に酔いしれて、依頼者を過度に優遇し悦に入っているのである。

この勘違いをただす必要がある。

 

 

江戸時代に戻って良いのか?

 

これに対する回答は、多くの国民に便益を与えているのだから、江戸時代に戻るのは間違えている。江戸時代に戻らず、法テラスが、依頼者と弁護士を平等に扱う。それを認める財務省法務省になることが、求められるのだ。

 

法テラスを電力会社に置き換えてみよう。

電力会社を廃止し、電気のない江戸時代に逆戻りすることは、もはや不可能だ。

電力会社の性格を変え、原子力、火力に依存する体質から、SDGsな風力、太陽光、地熱などを活用する会社に変えていく。

 

それと同じように、法テラスを廃止することは、もはやできない。江戸時代には戻れない。法テラスにメスを入れて改革する方向性が求められる。

 

 

 

この度、日弁連会長に就任する弁護士は、法テラスに顔が利くらしい。是非、法テラスの勘違いにビンタを浴びせて、覚醒させ、正しい法テラスに導いてほしい。

法テラスを、正しく法の光で照らそう。

法テラス案件を扱う弁護士に、正しく法の光を当てて、法テラス案件でも事務所経営が可能な報酬体系を作って貰おうではないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

法テラスと日弁連会長選挙

法テラス

という組織がある。

正式には、日本司法支援センターという。

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総合法律支援法に基づいて設立された独立行政法人に準じた法人だ。

て、意味分かんねえぞ。

 

その法テラスって何?

と思った読者も多いであろう。簡単に(でもないが)説明しよう。

 

 

主な業務は

❶法律問題の解決窓口の紹介(情報提供業務という)

❷法律相談の実施

❸弁護士を依頼するときの弁護士費用の貸し付け(民事扶助業務という)

❹国選弁護人の候補者を裁判所に推薦し、報酬を支払う(国選業務と呼ぼう)。

などである。

 

日本国には、憲法を頂点とした沢山の法律法令がある。

国民を制約するもの。

国民生活を援助するもの。

国民同士の争いを解決するもの。様々だ。

しかし、

国民が法律等を知らなかったら。

知っていても使い方が分からなかったら。

使い方を知っていても、下手くそだったら。

全てが絵に描いた餅になる。

 

全国民が法律の恩恵を受けられるように、全国民を法の光で照らすことを目的として設立されたのが、法テラスである。(なんだ、駄洒落じゃねえか。そうだよ。ちなみに公募で決まった)

 

根拠法令となる総合法律支援法を、構想し、条文を作成し、国会で法律にする。

ブログ主は、当時、法務省に任期付き公務員として採用された法務事務官(他の役職も兼務)として、この法律の成立に関与した。主に「構想」の分野だ。・・・・

 

 

少し、話が横道に迷い込むが、しばしの間、お付き合い願いたい。

この法テラス。国民に法の光を届ける役割の多くは弁護士が担当する。国民に法の光を届けるための弁護士報酬は法テラスが支払うことになる。

 

法テラスは、独立行政法人に準じた法人と書いた。

所管官庁は法務省である。

つまり、財務省から法務省を経由して法テラスに渡ったお金を、法テラスが弁護士に報酬として払う。

 

報酬の財源を財務省法務省に押さえられてしまうことで、弁護士活動の自由が奪われるのではないか。

 

抽象的で分からないかな。

国に逆らうような弁護士には報酬を払わないぞ。

弁護士が依頼者(国民)のために必要だと思って行った業務だが、財務省法務省の価値観から見て不必要だ、ムダだ。と評価されたら、報酬は支払わない。

弁護士が、この事件のこの部分には特別に労力を使ったから沢山報酬をくれ、と言っても、例外は認めない。

などだ。

それでは、弁護士が報酬を気にしてベストな弁護活動ができない。

 

そういう懸念が弁護士界全般に蔓延した(弁護士会じゃなくて、界ね)。

主は、法律を構想する側の役人だから、中立公正でなければならないのだが、同様の危惧を抱いていた。

 

それで、現状はどうなのか。って気になる?

気になるよね?

気にしてよ!!

 

弁護士からは

❶全体的に報酬が安すぎる。場合によっては、マックのバイト以下。

❷弁護士が頑張っても報酬に反映されない。頑張るほど馬鹿を見る。

❸支払までの手続きが多すぎる。

などなど、三日三晩語っても足りないくらいの不平不満が出ている。

ゆえに「法テラスの仕事を一切しない」という弁護士が続出、日々増加している。

とはいえ、報酬を握られているからといって、弁護活動の手を抜く弁護士は、全くいない。とは言い切れないが、ごく少数である。

弁護士活動の自由は、弁護士が我慢することにより維持されている。と言っても良いだろう。

要約すると、蔓延していた危惧は正しかった。制度としては、不完全、失敗作となった。しかし、弁護士各人の努力によって、弁護の自由は侵害されずに守られている。

 

さて、横道から、元の話に戻ろう。

主が、公務員の立場からも憂慮していたところから始めよう。

では、危機感を持っていた弁護士たちの総本山=日弁連は、どうしていたか?

当時、日弁連で法テラス対策の中核を担っていたのがK林G治弁護士だ(以下「G」という)。役職としてはトップではなかったが、発言力が強く、事実上仕切っていたと言って良いだろう。

Gは、日本全国の弁護士が感じていた危機感に、まったく鈍感であった。知識としては頭にあったのだが、皮膚感覚としては理解していなかった。

 

ちょっと歴史の時間。

法テラスができる前、法テラス主要業務の❷❸(民事扶助業務)は、財団法人法律扶助協会が担ってきた。

扶助協会に国の補助金はなく(確か、なかったと思う)、弁護士や篤志家からの寄付などによって運営されていた。財源が限定されているので、法の光が照らされる国民は、少数に限定されていた。

職員も、弁護士会が雇ったり、弁護士会職員が兼務していたりした。

独立した事務所がなく、弁護士会館の一室を使うのが普通だった。

扶助協会の支部がない県すらあった(はずだ)。

 

そんなところに、国が予算を付けて、全都道府県に支部を作り、独立した事務所を開設し、国の予算で職員を雇用してくれる。法の光を照らす弁護士の報酬は、依頼者への貸し付けという方式は従来通りだが、お金は国が用意してくれる。

こんな「おいしい話」はない。

 

全国の弁護士が危惧していてようとも、この構想を潰してはならない。否、法務省に積極的に関わって、より大きなものにしていくべきだ。

これがGの基本思想だ(と主は思っている)。

 

主は、この法制度を作った張本人(担当公務員)だから、Gと同じ思想を持っていると誤解され、多くの弁護士から嫌われ、軽蔑された時期があった。

主は、総合法律支援法が国会で法律として成立した後、公務員を辞し弁護士に戻り、日弁連で法テラス関係の委員会に所属した。上司がGだ。

主は、全国の弁護士が持っている危惧感こそ正しいと信じ、何度もGと対立した。喧々囂々、侃々諤々の議論を交わしたことも数知れない。しかし、Gは自説を曲げることなく、主の主張をことごとく退けた。

そのように主が、Gとは反対の立場であり、全国の弁護士のために闘っている。という事実の積み重ねにより、主に対する誤解は氷解し、主の存在を積極的に認める弁護士が増加していった。

 

 

Gが法務省にすり寄った結果が、横道で確認したように、弁護士の法テラス離れ現象である。法テラスは、弁護士に有益な存在ではなく、苦役を強いる存在に堕してしまった。

それでも、弁護士の自由を守っているのは、苦役を強いられても我慢して頑張っている個々の弁護士の正義感である。

 

さてさて、話は大きく転換する。

 

先日、2年に1度の日弁連会長選挙があった。

会長に当選したのは、小林元治という弁護士だ。

正式には「もとじ」と読むのだが、誰もが「がんじ」と呼ぶ。

主は、かなり以前に日弁連の仕事から離れてしまったが、だれが新会長のクビに鈴を付けるのか。

いさめる人が居るのか。

新会長はその言葉に耳を貸すのか?

 

これから2年間の日弁連は、暗黒の時代かもしれない。

 

例えば、僕が日弁連で刑事弁護の仕事をしていたときに新会長に就任した大阪の宮崎氏は、「きのした君。僕は刑事弁護の最先端の議論はよく知らないから、分からないことがあったら君に教えて貰いたいんだ。携帯番号を教えてくれ」と言い、本当に何度も電話をしてきた。

こういう虚心坦懐な人格者にこそ、総本山会長になってほしいものである。

 

 

 

 

 

自筆遺言書保管制度

さてさて、

叔父さんが、ようやく遺言書を書く気になった。

その理由は、癌になって告知されたからだ。

あまり良いキッカケではないが、とにかく懸案の遺言書を書いてくれるのはOK牧場だ。

 

叔父さんの家から、最寄りの公証役場までは遠い。
叔父さんの家から最寄り駅まで、僕の足で10分。
叔父さんだと、何十分かかる分からないから車移動だな。
そこから電車で20分。
電車を降りてから、公証役場までも、同じくらいの距離。

杖を使って、歩行困難者の叔父さんには、途方もなく遠い距離だ。

現実的には、従姉妹が車で運ぶことになろう。

面倒くさい遺言書だったら、公証役場を使わざるを得ないと思っていたが

今回は(いろいろと葛藤の末)「妻に全財産を相続させる」だけの単純なものになる。

それなら、自筆証書でも良いではないか。

 

その場合、表題にもある新制度を利用してみようと思っていた。

自筆遺言書保管制度の魅力は

❶受付時に、遺言書の形式審査をしてくれる。

❷保管が万全で、火災や盗難の心配がない。

❸検認手続きをしなくて良い。

❹遺言者死亡後に相続人全員に通知してくれる。

などである。

 

個人的には、❹に興味があった。

相続案件を処理したことがある弁護士なら、誰しも、相続人確定作業に手間がかかる経験をしたことがあるだろう。

関係者が健在で相続人は分かっていても、戸籍類を整えるのが大変だったりする。

それを法務局が肩代わりしてくれるなら、なんとありがたいことか。

 

今日、法務省民事局に電話をして尋ねてみた。

回答「遺言書を預けるときには、相続人がわかる資料は、何一つ必要ありません」

よっっしゃー!これで楽ができるぞ!

「あれ?」

「預けるときは」って言わなかったか?

恐る恐る聞いてみた。

「では、いずれ必要になると?」

回答「はい。遺言者が亡くなって、法務局が通知するときには、資料を出して頂くことになります。」

「遠い親戚が死亡して、思いがけずに相続人の順番が回ってきた。なんてときには、他の相続人が分からないこともありますよね。」

回答「そういうときは、弁護士さんとか司法書士さんとか専門の人に相談して下さい」

 

け! 結局は、それかい。

❹には、全く魅力がないことがよく分かった。ということを読者の皆様に、ご報告いたします。

 

なお、遺言書を法務局に預けに行くには、本人が必須だそうです。

叔父さんは、癌で病床にいますから、法務局に連れて行くのも難儀なので、自筆証書を書いてもらって、封をして、後で家裁で検認手続きをします。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1 判例紹介 家賃滞納で、家財道具処分可能

ABCニュース関西

 

家賃滞納すると⇒家財道具を勝手に処分できる契約条項は「適法」と判断 大阪高

03/05 20:48

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家賃を滞納した借り主の家財を無断で処分できるとする契約条項をめぐって、関西の消費者団体が家賃保証会社を訴えた裁判の控訴審判決で、大阪高裁は条項は適法だと判断しました。

NPO法人消費者支援機構関西」は2016年、家賃債務保証会社「フォーシーズ」を相手取り、契約条項の差し止めを求めて提訴しました。訴状などによりますと、「フォーシーズ」は賃貸物件の借り主が家賃を2ヵ月以上滞納したなどの場合、物件を明け渡したとみて室内の家具や荷物を無断で処分することを可能だとする契約条項などを定めています。2019年の1審・大阪地裁判決は原告の訴えの一部を認め、条項の差し止めを命じましたが、大阪高裁は5日、家賃の滞納や連絡がとれないなどのいくつかの条件を満たしている場合「借り主は物件を住居として使用する意思を失っている可能性が極めて高く、占有権を放棄している」と判断し、1審判決を取り消して条項は適法としました。判決後の会見で、原告側の代理人弁護士は「本来なら裁判手続きを経て行われる物件の明け渡しを、契約条項があれば民間会社の判断のみで可能だとする判決。大きな問題がある」「事実上、『追い出し行為』を可能にしてしまう」と話し、上告を検討しているということです。

#ウルトラ怪獣散歩

ウルトラマンシリーズ等に出てくる

ウルトラマンじゃない方」

が街ブラ散歩する地井散歩の空想科学版。

 

とは言っても、出演者?が空想科学の世界から来ただけで、ブラつく街は本物。

出演者は、毎回ウルトラの世界から3体がご出演。その他、現実の街の人たち。

街ブラであるから、3体同士が会話をするし、街の人たちとも会話をする。声の出演は、毎回、東京03の3人だ。

 

毎回、MCはメフィラス星人と決まっている。

3体の内、毎回必ず1体は星人ということになる。

 

ウルトラの世界でウルトラマン達の敵となって闘うのは、大きく分けて「怪獣」と「星人」だ。←これ重要

星人と言っても、おっぱい星人はでてこないし、ブッダもイエスも出てこないから、そこは間違えていない。

しかし「星人」は「怪獣」ではない。

ウルトラ怪獣散歩のメインMCがメフィラス星人というのは、如何なものか。

看板に偽りあり。偽装ではないのか。

これは「ウルトラ星人散歩」ではないのか?

 

ゲストの2体も、怪獣では無く、星人のことが多い。
メフィラスを含め出演者3体ともに、星人という回も、相当数ある。

出演者は会話をするので、怪獣より星人の方が都合がいい。という番組制作上の配慮もあるだろうが。

円谷プロも関わっている番組なのだから、そこのところは、充分に配慮して欲しかった。

 

第1話~第16話を省略して、第17話を検証してみよう。

 

散歩の舞台は、アメ横

MCは当然「悪質宇宙人」メフィラス星人

身長2~60m。体重40~2万t。出身地メフィラス星。

「悪質宇宙人」がMCに適任なのか、という疑問は横に置いて、メフィラスのサイズ感を見てみよう。

 

最高身長60mのとき、最大体重2万t。ということだろう。

逆に、最小身長2mで、体重40tは重すぎないだろうか。

メフィラス星人の体型は、地球人に比較すると小太りって感じかな。

地球人だったら当然100kg超だろうが、

身長2mということは、223cmのアンドレより小さい。

アンドレは公称230kgだから、メフィラス体型の地球人の体重は200kg前後と考えて良いだろう。

それに対して40tとは相当重い。40tは40,000kg。200kgの2000倍だ。

つまり、密度が2000倍、高い。

TVで見た目、足も相当大きいから、長さ50cm、横幅30cmと仮定してみる。面倒なので楕円形でなく長方形として計算すると、1500cm2。足は2本だから、接地面積は3000cm2。

 

ところで、皆さん、地耐力という言葉をご存知ですか。

その地面が、どの位の重さまで堪えられるか。という数値です。

地耐力100tの土地に、50tの石を置いても、地盤は軽く受け止めます。

200tの石を置いたら、地盤は受け止めることができず、地盤沈下が生じます。

全体的に沈下するのではなく、石が沈んでいきます。

 

地耐力は、一般に1m2の面積に対して、何tまで堪えられるか。で数値化します。1m2=10,000cm2ですね。

例えば、岩盤の地耐力は100tです。

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地耐力

kN/m2という単位ですが、kNは「キロニュートン」だそうです。カタカナに言い換えても良く分かりませんが、表の数字から、地耐力は「0」が一個減るようです(一桁下がる)。

つまり、地耐力1000kN/m2の場合、10,000cm2の面積で100tを受け止めることができる。という意味になります。

メフィラスの接地面積は3000cm2と仮定しましたから、メフィラスの体重を受け止める地面の面積も3000cm2しかありません。表の数字の30%しか堪えられないことになります。

メフィラスが立っている地盤が一番地耐力の強い岩盤であっても、地耐力100tの30%は、30tですから、30tまでしか受け止めることができません。

つまり、2m40tのメフィラスが岩盤の上に立っていたとしても、10tオーバーで沈下していきます。

両足で立っていても沈下しますが、歩くと、片足になりますから、接地面積は半分になり、さらに沈下は進行します。

 

しかし、メフィラスは、岩盤の上に立っていません。

散歩の舞台はアメ横です。

関東ローム層の上に舗装してあるのではないか?

硬いローム層だとしても、地耐力は10t。岩盤の10%しかない。

メフィラスは、オープニングトークをしている間に、あっというまに沈下して画面から消えていく。はずだ。

 

ウルトラ怪獣散歩の番組内では、予算の関係か?必要性がないからか?

身長60mに巨大化することはない。

でも、仮に巨大化したら、どうなるか?

身長が30倍になる。体積は、その3乗で増える。3次元だからだ。

つまり、体積は2700倍になる。

体重は40t→20000tだから、500倍。

あれ?やけに少ない。

ガリガリに痩せてしまうか、スカスカに骨粗しょう症化するか。

いずれにしろ、巨大化したメフィラスは、滅茶苦茶弱そうだ。

地耐力の問題も、巨大化してくれたら解決しそうだ。

足も巨大化して、接地面積が大きくなるからだ。


メフィラスの沈没問題で横道に逸れてしまったが、「怪獣」「星人」問題に戻ることにしよう。

 

 

 

この第17話ですが

ゲスト①は、

 

 

仮アップ。

#民法 #親族の範囲

民法の問題なので、条文を引用してみましょう。

 

親族の範囲)

第725条
次に掲げる者は、親族とする。
一  六親等内の血族
二  配偶者
三  三親等内の姻族

 

ある作業の途中で、親族の範囲は記憶しているが、念のため確認してみようとググったところ、条文より先に、家系図での説明がズラズラ並んでいた。

そのうちのひとつがこれ。

 

 

出典は、下記のHP。

東京海上日動の子会社だ。

 

イーデザイン損保

f:id:kiiroshita:20210219113112j:plain

 

配偶者は親族に含まれないそうである。

最近、民法がシバシバ改正されているので、配偶者は外されたのであろうか。

どなたか、詳しい人教えて下さい。

 

 

 

 

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